卵は色んな料理に必要になるので頻繁に使用する食材ですが、1パック10個入りの卵を買うと全部使う前に賞味期限が切れてしまうこともあるかと思います。
卵は意外と賞味期限が短いですからね。
では、賞味期限切れの卵は食べないほうが良いのか、いつまで食べることができるのか。
今回は、これらの疑問について詳しく説明した後、卵の適切な保存方法について解説していきます。
卵はいつまで安全に食べることができるのか?
まず、卵の賞味期限や安全に食べられる期間について詳しく説明していきます。
卵に定められている賞味期限の意味
スーパーやコンビニなどで購入する卵にはそれぞれ賞味期限が定められていますが、これは何を意味しているのか、また、どのように定められているのか。
意味としては「生で食べるのに安全な期間」で、具体的には「卵をパック詰め後2週間程度」と定められています。
これは最悪を想定した場合でも、サルモネラ菌の繁殖が起こりえない期間です。
厳密に安全に生で食べられるのは、時期や保存方法によって大きく異なりますが、2週間程度というのはパック事業者や販売店などの話し合いで決められましたものです。
賞味期限はかなり厳しく定められている
卵の賞味期限というのは最悪の状況や環境を想定して、それでも安全に食べられるという期間が定められています。
最悪の状況や環境というのは以下の3つです。
- 卵の内部にサルモネラ菌が存在していることを想定(市販されている卵10万個のうち3個という割合)
- サルモネラ菌が繁殖しやすい夏季を想定(他の時期なら産卵後25日~57日はOK)
- 生で食べることを想定(加熱処理でサルモネラ菌を死滅させることができる)
サルモネラ菌は食中毒の原因となる危険な菌ですが、卵の内部に存在している可能性は極めて低く、食品安全委員会の研究では市販されている卵10万個を調べた内3個しかありませんでした。(0.003%)
そして、仮にサルモネラ菌が存在していたとしても、菌の数は高々“数個~数十個”程。
人体に影響があるくらい繁殖するのは、卵の鮮度が落ちるくらい日数が経った時です。
具体的に説明すると、サルモネラ菌が繁殖するには卵黄内の鉄分が必要で、そのために卵黄を覆っている膜が破れて鉄分が卵白に移行するまでの日数です。
- 夏季:産卵後16日
- 春秋期:産卵後25日
- 冬季:産卵後57日
以上が目安とされています。
しかし実際の賞味期限は年中通してパック詰め後2週間程度としており、これは夏季を想定しているのです。
また、それも室温28°で保存した状況を想定しているため、購入後すぐに冷蔵庫に入れれば夏季でももっと長い期間が見込めます。
そして、運悪く0.003%の卵に当たってしまい、さらに保存状態が悪かったりずっと放置してしまいサルモネラ菌が繁殖した卵でも、70℃、1分以上加熱処理を行えば問題なく食べることができるのです。
危険な卵の見分け方
サルモネラ菌が繁殖している可能性がある卵を見分ける方法があります。
こういった卵は黄身の鉄分が白身に移行しているため、運悪く「0.003%のサルモネラ菌が存在する卵」の場合、サルモネラ菌が繁殖している可能性があります。
かなり低い確率ですが、万が一のためにそういった卵は加熱調理を行いましょう。
結局、卵はいつまで食べることができるのか
これまでの説明を読んで頂ければ分かると思いますが、多少賞味期限が切れた卵を食べたとしても(たとえ生であっても)、サルモネラ菌で食中毒になるというのはかなり運が悪いケースです。
賞味期限を数日過ぎても卵の状態に異変がなければ生で食べても問題はほぼありません。
どうしても心配な場合は加熱処理をすれば良いわけですしね。
しっかり加熱すれば賞味期限を“1ヶ月程度”過ぎたものでも安全に食べることができます。
卵の保存に関するポイント
続いて、卵の保存方法についてポイントをご紹介します。
- 冷蔵保存が基本
- ドアポケットではなくパックのまま保存
- 卵の頭(鋭部)が下に向ける
- 保存する前の水洗いは厳禁
- 臭いが強い食品からは離す
- 卵を割ったらすぐに使う
- ゆで卵にすると賞味期限が一気に短くなる
【ポイント1】冷蔵保存が基本
卵を保存する際の温度についてですが、10°以上であれば高い程鮮度が落ちやすいため、常温保存ではなく冷蔵庫で保存するのが望ましいです。
【ポイント2】ドアポケットではなくパックのまま保存
冷蔵庫には卵を入れるためのドアポケットが付いておりとても便利ですが、それを使うのは卵の品質を保つ上で好ましくありません。
理由は以下の2つです。
- ドアの開閉の度に振動が加わりヒビが入る可能性がある
- ドアの開閉の度に室温に晒されやすい
ヒビが入るのは稀なケースなので、重要なのは特に後者ですね。
外部の温度変化は卵の品質に影響するため、できるだけ温度を一定に保つのが良いのです。
なので、できるだけ卵は購入したパックのまま冷蔵庫の奥の方に保存しましょう。
【ポイント3】卵の尖っている側を下に向ける
卵には膨らんでいる側と尖っている側がありますが、
尖っている方を下に向けて保存しましょう。
これにも理由は2つあります。
- 尖っている側の方が強度が高い
- 膨らんでいる側には気室があり、卵黄が触れると細菌が入りやすくなる
実は卵のパックは大体が尖った部分が下になった状態で入っており、それもこれらが理由なのです。
卵のパックで保存する場合はそのままのむきで大丈夫ですが、ドアポケットに保存する場合はその向きに注意して下さい。
【ポイント4】保存する前の水洗いは厳禁
卵の殻が汚れていたりすると冷蔵庫に保存する前に水洗いをしてしまいがちです。
しかし、卵には微細な穴(気孔)があり、水洗いをするとそこから水と一緒に雑菌が入り込んでしまう可能性があるのです。
卵は出荷前に念入りに洗浄、殺菌されているため、水洗いしなくても衛生的な問題はありません。
どうしても気になる場合でも拭き取るだけに留めましょう。
【ポイント5】臭いが強い食品からは離す
卵は呼吸をしており外部の臭いを吸収します。
そのため、肉や魚などの臭いが強いものからはできるだけ離すようにしましょう。
【ポイント6】卵を割ったらすぐに使う
割った卵は卵黄が空気にさらされるため雑菌が繁殖しやすい状態にあります。
さらに卵黄を潰して卵白と混ぜた状態だと、サルモネラ菌が存在した場合、鉄分を得て繁殖してしまうためもっと危険な状態です。
これらの状態の卵は放置せず、すぐに食べるなり調理するなりしましょう。
間違って割った卵を使わずに保存する場合は、すぐに容器に移し、ラップやフタをして冷蔵庫に入れましょう。
卵黄を潰していないものは3日以内に、潰したものは24時間以内に加熱調理をしてから食べるようにして下さい。
【ポイント7】ゆで卵にすると賞味期限が一気に短くなる
卵はゆで卵にすると安全に食べられる期間が一気に短くなるので注意が必要です。
- 殻を剥いたゆで卵:24時間
- ヒビが入ったゆで卵:2日
- 殻付きのゆで卵:3日
卵白には細菌を除去することができる“リゾチーム”という酵素があるのですが、ゆで卵にするとこの成分が壊れてしまうのです。
あとがき
以上、卵の賞味期限や保存方法についてでした。
卵は色んな料理に使いますが、それでもまとめ買いをすると賞味期限を切らしてしまうことも珍しくありません。
しかし、きちんと冷蔵保存をしていたら多少の期限切れくらい問題ありませんし、万が一サルモネラ菌が繁殖している場合でも、加熱調理を行えば安全に食べることができます。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。