『玄米』といえば『白米』とくらべて栄養が豊富で健康や美容に効果的というイメージがあるかと思いますが、ダイエットに良いと言われることもあります。
では普段白米を食べている人が玄米を食べるようになったら痩せるのでしょうか?
はじめに結論をいうと、健康や美容に良いのは間違いないのですが、白米から玄米に切り替えただけで痩せることはありません。
今回は白米と玄米のカロリーや栄養の違いについて見ていき、玄米の正しいダイエット効果について解説していきます。
そもそも玄米とは?
玄米とは脱穀したお米を精米する前の状態、すなわち米ぬかで覆われている状態の米を指します。
さらに厳密に言うなら、通常の白米は精米で“ぬか層”と“胚芽”が取り除かれて胚乳のみの状態を指すので、玄米は『胚乳(白米)+胚芽+ぬか層』の状態のお米というわけです。
『玄米』は収穫した稲の『籾』を脱穀したもの。
そして胚芽を残して精米したものが『胚芽米』、胚芽を残さずに精米したものが『白米』です。
玄米は“米ぬか”により焦げ茶色のような色ですが、そのため玄(黒い)米といわれています。
玄米は精白米よりもビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なのは、“ぬか層”と“胚芽”による栄養のためです。
では実際に白米と比べて玄米はどれくらい栄養があるのか、具体的にどんな栄養素が豊富なのか、詳しく見ていきましょう。
玄米のカロリー・栄養グラフ
玄米・胚芽米・白米のカロリー・栄養素を比較
次に玄米と白米のカロリーや栄養を比較します。
■玄米・胚芽米・白米1食分(160g)当たりの栄養成分
栄養素 | 玄米 | 胚芽米 | 白米 |
---|---|---|---|
エネルギー | 264Kcal | 267Kcal | 269Kcal |
タンパク質 | 4.48g | 4.3g | 4g |
脂質 | 1.6g | 1.0g | 0.48g |
炭水化物 | 56.96g | 58.2g | 59.36g |
食物繊維 | 2.24g | 1.3g | 0.48g |
ビタミンE | 0.8mg | 0.64mg | 不明 |
ビタミンB1 | 0.26mg | 0.13mg | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg | 0.02mg | 0.02mg |
ナイアシン | 4.64mg | 1.28mg | 0.32mg |
ビタミンB6 | 0.35mg | 0.14mg | 0.03mg |
葉酸 | 16.0μg | 9.6μg | 6.0μg |
パントテン酸 | 1.04mg | 0.70mg | 0.4mg |
ビオチン | 4.0μg | 1.6μg | 0.8μg |
カリウム | 152.0mg | 81.6mg | 46.4mg |
マグネシウム | 78.4mg | 38.4mg | 11.2mg |
リン | 208mg | 108.8mg | 54.4mg |
鉄 | 0.96mg | 0.32mg | 0.16mg |
亜鉛 | 1.3mg | 1.1mg | 1.0mg |
白米の栄養についてはこちらにまとめています。
上記の表を見れば玄米と白米の栄養素の差は一目瞭然。
食物繊維・ビタミン・ミネラルなど、重要な栄養素において全て玄米の方がいちじるしく豊富であるのがわかりますね。
逆に白米の豊富な栄養素といえば『炭水化物(糖質)』くらいで、重要なビタミン・ミネラルはほとんど含まれません。
胚芽米は白米よりは栄養豊富ですが、それでも玄米と比べると大きく劣ります。
これらの栄養素がどのようにダイエットに影響するのかを見ていきましょう。
玄米のダイエット効果について
一般的に玄米がダイエットによいと言われるのは、以下の点に関してです。
- 低カロリー
- ビタミンB群が豊富
- 食物繊維が豊富
それぞれ詳しくみていきましょう。
【玄米のダイエット効果について1】玄米と白米のカロリーの比較
玄米のダイエット効果を見る上で一番に注目してもらいたいところは、白米とのカロリーの比較です。
玄米といえばダイエットに良いというイメージから、何となく「玄米は低カロリー」と思っていませんか?
しかし、表を見直してみて欲しいのですが、両者のカロリーはほぼ変わらないということが分かるかと思います。
白米と比べてカロリーが抑えられるわけではないので、この時点でダイエット効果が疑わしいですね。
ではカロリー以外の観点について見てみましょう。
【玄米のダイエット効果について2】ビタミンB群が豊富
ビタミンB1やビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6など、玄米はとくにビタミンB群が白米よりも豊富に含まれています。
これらは糖質や脂質、たんぱく質の代謝に関わる栄養素です。
また日本人の食生活では、推奨される量と比べて不足しがちな栄養素でもあるので、これを主食で補えるのは非常に合理的だと言えます。
そして玄米のビタミンB群が豊富な性質をもって“ダイエットに効果的”という人もいます。
しかしそれは健康面においては効果的とは言えますが、これがダイエットに繋がるとは言い難いです。
たしかにビタミンは不足したら脂肪が若干燃えにくかったり、代謝がわずかに落ちたりすることは考えられます。
しかしだからといって、ビタミンを摂れば摂るほど痩せるということではありません。
そもそもこの世に「痩せる栄養素」や「マイナスカロリーの栄養成分」なんてもの存在しませんからね。
【玄米のダイエット効果について3】食物繊維による食欲の抑制効果
玄米は食物繊維が非常に豊富で、その量は白米と比べ約“5倍”。
そのため白米と比べて腹持ちの良さが見込めます。
メカニズムとして、「玄米に含まれる食物繊維は飲み込むのに白米よりも多くの咀嚼を必要とし、さらに体内に入ると水分を含んで膨張するため、満腹感を得やすく腹持ちがいい」といったものです。
また血糖値が上がりにくい“低GI食品”と呼ばれるのも関係しています。
ただし1食あたり食物繊維が2.24gというのは、白米よりは多いですが野菜や果物と比べたら少ないですし、食パンや麺類と比べても同等程度しかありません。
白米自体にほとんど食物繊維が含まれていないので、それと比べると多く思えるという感じですね。
それでも食物繊維は不足しがちな栄養素なので、白米よりもわずかでも多く取れるというのは良いことなのは間違いありません。
【玄米のダイエット効果について】まとめ
以上、玄米のダイエット効果について説明しましたが、まとめます。
玄米ダイエットは、「白米を玄米に変えるだけで痩せられる」と言われることがありますが、それだけで痩せるのはまず不可能です。
ダイエットの基本は“摂取カロリーと消費カロリーの収支”なので、玄米に置き換えても摂取カロリーが変わらない以上、ダイエット効果は期待薄です。
玄米を食べたからといって、栄養(カロリー)の吸収率が下がったり、消費カロリーが上がるはずありませんからね。
もし玄米で痩せたいのなら食欲の抑制効果に伴い、食事の量を減らしたり、間食をなくしたりする必要があります。
あとがき
結論として、『白米を玄米に置き換えるだけでは痩せられない』ということです。
少し批判的な内容になってしまいましたが、くまでそれはダイエット効果だけを見た場合です。
普段の食生活で現代人はビタミン・ミネラルが不足しがちなので、これらが豊富な玄米を白米の代わりに摂取することは、健康や美容にとっていいことだらけです。
しかし、玄米には賛否両論あり、デメリットを唱える人もしばしば見られます。
玄米の健康・美容効果におけるメリット・デメリットについても詳しく説明しているので、是非こちらもご覧ください。
また玄米の種類についても人気のものを比較してランキングにしたので、玄米選びの際にはこちらを参考にしてください。